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音楽的な再生装置

あるオーディオ・マニアのご主人がやっていらっしゃるペンションを訪ねたときの ことです。夕方の忙しい時間に訪問した私に、ずいぶん詳しく装置の説明を してくださり、いろいろと参考になりました。

電力会社の配電系統が気に入らず、オーディオ用に別系統の配電をさせている 大変なマニアで、地下室に立派な受電設備を持ち、大変豪華なスピーカー・ システムをお使いでした。その方は、もっと上級のスピーカーが欲しかったが、 ウン百万円しか出せなかったと残念そうでした。 ディジタル・ケーブルにも、試聴の結果だということで、大変なお金をつぎ込んで ありました。

しかしながら、聴かせていただいた音が今ひとつだったのが残念でした。細部の 良さはいろいろありましたが、全体としてバランス感覚が不足した音作りになって いたのです。

システム・コンポと称するセット物の音は、一般に、良くはないものの破綻をきたさない 音作りになっています。高価なシステムと比較すべくもないレベルのものであっても、 破綻がこないということが、音楽を聴く上で最も大切な点であることをメーカーは 心得ているようです。

一方、私のように何でも自分でやらないと気が済まない人間の装置は、頻繁に破綻をきたして います。

簡単な例を挙げますと、ターンテーブルのマットの材質を変えて「ソロの音像の大きさの 絞込みに成功した途端に、音像定位のふらつきが目立つようになってしまった。」といった 類の齟齬が頻発するのですね。ソリストが妙にウロチョロと移動するのではとても落ち着いて 聴いていられません。

音像の定位の良さに影響するファクターとしては、クロストークの周波数依存性や、各種の歪 によって発生する高調波とビート、過渡応答の不均一性、指向性の周波数依存度、いわゆる 箱鳴りや部屋の共鳴などなど多くの事柄か関係していると推定されますが、ソロの音像を 小さく絞り込むに当たっては、これらの定位性能とのかね合いを充分考慮して掛からないと、 音像の情報量がその再現能力を越えてしまうということでしょう。逆に音像がぼやけて いれば当然ふらつきもわからない理屈です。

音楽的な再生装置とは破綻がこない再生装置のことだといっても良いかもしれません。 それは良識とバランス感覚の産物であるようです。

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